ある日銀河の片隅で/高木浩二・髙田竹弥 二人展
2024年3月「ある日銀河の片隅で」
この企画は高木浩二さん、髙田竹弥さん、陶とアートの二人展です。
それぞれの作品をずっと以前から知っていて、高木さんと髙田さんお二人の作品が並ぶ景色をこの無機質な櫻ギャラリーという空間で見てみたいという人知れず抱いた妄想が現実に叶った展示です。
いやー、実に美しかった。
このままこの場所をカフェかホテルにしてみたい、なんて新たな妄想が浮かぶような空間でした。
お二人の作品があってこその二人展。当たり前みたいなことですが、しみじみそう思いました。
高木浩二さんの彩泥の器は1つ1つ表情が違います。白土、赤土、黒土をスポンジで重ねづけていくという作業は地味に手間がかかるそうです。
その表情はもちろん器の裏側まで続いていて、じっくり見るととても丁寧で美しい仕事をされていることが分かります。
展示を観に来てくださった、よく櫻ギャラリーを自らの個展に利用くださっている陶芸家の方も感心されておりました。
この高木さんの彩泥の表情で彩られた有機的なフォルムの器にはつくづく心惹かれるものがあります。
なんだかこう、触ってみたくなる、手に包んでみたくなるそんな気持ち。
そして料理人からの指示が熱いという高木さんの器は、なにを盛ってもお料理がちょっと格上げされたような、おしゃれ見えするところも魅力です。
髙田竹弥さんはオブジェのような立体作品から絵画、コラージュ作品まで実に多様な表現をされているアーティストです。
そのなかでも「こころをつなぐ」と題されたシリーズの作品に深く魅了されたのが髙田さんを知ったはじめてだったように思います。
今展にも「こころをつなぐ」やってきまして、私はひそかに大きく感激。物語を感じてしまうのですよねぇ、「こころをつなぐ」には。
漆喰や石灰水なども用い、独自の表現で魂を静かに揺さぶる作品を生み出されている髙田さん。
三重県の伊賀で素敵な暮らしをされている様子をインスタグラムで拝見していましたが、このたびは初日とその翌日に在店くださりようやく初めてお会いできました。兵庫県生まれだそうで、関西系のイントネーションが親しみやすく、とても気さくな方で、そんな髙田さんはご自身の作品について、生活のなかに置いてもらって楽しんでもらいたい、とそういうようなことを話されていました。
何か具体的なものを描いたわけではない髙田さんの絵は見るときの心持ちによって見え方も変わります。キャンバスに描かれた額縁のない作品は、飾る場所に合わせて方向を変えて楽しめます。
高木さんの器も、髙田さんの作品も、お求めくださった方の暮らしのなかで小さな喜びとなりますように。
そしてそんな豊かな毎日を楽しんでいただけると幸いです。