櫻茶屋|徳島のカフェ&暮らしのshop

櫻日誌

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2023年の旅するラグ

2021年から3年続けて開催しましたトライバルラグ展。
今回も素晴らしいラグに触れることができました。

その昔、遊牧民が商用ではなく、自分たちが使うために家族のために部族のために織ったラグ、それが本来のトライバルラグ。
どれもとても渋い色彩に彩られ艶を帯び、それが大層美しく、部屋に自然と馴染んでくれます。
そしてそれは見れば見るほど愛着がわいてくる魅力に溢れています。
星か花か動物か、暮らしの中で目にするものが夜空か大地のような地模様のなかにそっと織り込まれているものもあれば、部族の誇りがとても繊細に織り込まれているものもあったり、好きな感じの模様を自由に大らかに表現したものもあります。
じっとその一枚を眺めていると、どれも小さな発見があるのです。
そうした発見がまたワクワクする気持ちや想像する喜びを与えてくれる、見れば見るほど「この絨毯、やっぱりいいなあ」と思ってしまう、本物のトライバルラグにはそんな魅力があるように思います。

絨毯をめぐっての地理、歴史、宗教、文化、経済、まさに社会学ともいえるそれらを私もTribeの榊さんからたくさん教えていただきました。
会場でお話しさせていただいたお客様には、絨毯を通してそうした魅力を少しでもお伝えできていれば嬉しいなあと思います。

Tribeの榊さんは20代で絨毯に魅せられ、絨毯の販売にかかわる仕事を続けて再来年で40年になるそうです。
長く絨毯を扱ってきて、最も飽きない魅力を感じるのがトライバルラグ、部族の絨毯だそうです。
そんな榊さんの審美眼を通して選ばれた絨毯はどれもそれぞれに魅力的で、温もりと力強さがあるのですね。

今回も織られてから80~100年を越えるというラグにいろいろ出会うことができました。ソ連の支配が及ぶ前、化学染料が入って来る前の絨毯です。そうした絨毯はそれほど数多く残っているわけではなく、だんだん入手しづらくなってきているそうです。
反対に30~50年くらい前のものは、絨毯が売れるものだという認識が広まりどんどん商業用に織られるようになったため、たくさん数があり取引価格も1/3以下とのことだそうです。
トライバルラグが日本でちょっとしたブームになっている昨今、価格のことで疑問に思うこともあったのですが、そうした話を聞いて私も納得したのでありました。
商業用に織られたものにも良い絨毯はたくさんありますが、やはり本物のトライバルアートとなるとそれらのなかに見いだすのは難しく、どちらが良い悪いということではないのですが、よく皆さまが疑問に思われる価格にはそうしたことが反映されているようです。

いずれにしても皆さまが末長くご愛用できる絨毯に出会っていただけるといいなあと思います。

次回は2年後に開催させていただく予定です。

photo : あえか

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