櫻茶屋|徳島のカフェ&暮らしのshop

櫻日誌

お店と暮らし・作り手や
その作品のこと

ノアの箱舟 村井大介/陽子 二人展

2023年最初の展示は村井大介さん、陽子さん、ご夫婦による二人展。
大介さんの端正なフォルムと、美しい表情をした磁器の器、そこに陽子さんのほんわか柔らかな磁器の動物たちが加わって、小さなお店はまるで楽園のようでした。
会期の中ほどの土曜日に、お二人と息子さんが来てくださって、夕方まで在店くださいました。

大介さんの器はお料理をワンランク上のものに見せてくれる器です。
大介さんの磁器製の器は、大きく分けると2パターンあります。
独特の涼やかな表情を持ち、1つ1つ表情が異なるチタン釉の器。
和紙のようなシボ感が施されている、マットな質感も美しい磁化粧の器。
どちらも村井大介さんの作品と一目見て分かる、大介さんならではの表現です。
そしてその器は、いわゆる家庭料理でも、ちょっと格別、格上に見せてくれるのです。
そして和食や、フレンチ、イタリアンなら、プロの料理をさらに引き立ててくれることと思います。
櫻茶屋でも一部の料理に村井さんの器を使用しています。
それで村井マジックは実感済み、というわけです。
お料理を真心こめて作っても、選ぶ器によって見栄えというのがずいぶん変わるのですね。
村井さんの器はご馳走感が増します。
「困ったときの村井さん」と我々の厨房では呼んでいます。

そして陽子さんの動物たちは、まあなんてほのぼのしているのでしょう、と思います。癒し効果抜群。
陽子さんと作品についてお話ししたことを思い出していると、ふと金子みすゞのある詩が頭をよぎりました。

「みんなをすきに」

わたしはすきになりたいな、
何でもかんでもみいんな。

葱も、トマトも、おさかなも、
残らず好きになりたいな。

うちのおかずは、みぃんな
母さまがおつくりなったもの。

わたしはすきになりたいな。
誰でもかれでもみいんな。

お医者さんでも、烏(カラス)でも、
残らず好きになりたいな。

世界のものはみィんな、
神さまがおつくりなったもの。

陽子さんが動物を作るときに願っていること。
できるだけ幸せそうな表情になりますように。

陽子さんが動物タワーを作るときに心がけていること。
できるだけ、いろんな場所に住む動物を一緒にすること。
そしてやっぱりみんな幸せそうな表情でいること。

だそうです。

村井大介さんの器と陽子さんの動物は、ノアの箱舟とそこに乗りこむ動物たちのように私には見えました。
優しい穏やかな世界でした。

お越しくださった皆さま、心を寄せてくださった皆さま、
本当にありがとうございます。

またこの場所で、お二人の作り出す愛に満ちた世界をご覧いただけますように。

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